ムチェンスク郡のマクベス夫人

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DEC 2025

 

ムチェンスク郡のマクベス夫人 – ドミートリイ・ドミートリエヴィチ・ショスタコーヴィチ
4幕のオペラ
アレクサンドル・プレイスとドミートリイ・ショスタコーヴィチによる台本

 

ショスタコーヴィチの没後50周年を記念し、スカラ座は彼の傑作《ムチェンスク郡のマクベス夫人》でシーズンを開幕します。この作品はニコライ・レスコフの中編小説を原作としています。物語は、若い妻が愛人と共に夫と舅を殺害するが、最終的には発覚し、すべての人に裏切られてシベリアで自殺するというものです。サンクトペテルブルクでの初演後、このオペラはロシア国内外で大きな成功を収めました。1936年にスターリンがモスクワでの公演に出席し、その2日後、新聞『プラウダ』に「音楽の代わりに混乱を」と題された有名な非難記事が掲載され、オペラと作曲家は当局により排斥されました。その後、ショスタコーヴィチは新たなバージョンを作成し、1963年にモスクワで《カテリーナ・イズマイロヴァ》として上演されました。これは、スカラ座の監督ギリンゲッリが初演を実現しようと試みて失敗した後のことです。本公演では、1934年のオリジナル版をマエストロ・シャイーの指揮により、演出家バルハトフのデビューとして上演します。

 

あらすじ

時と場所:19世紀後半のロシア中部の都市ムツェンスク郡、およびシベリア街道

 

第1幕

第1場:イズマイロフ家居間、第2場:同庭先、第3場:カテリーナの寝室

カテリーナは裕福なイズマイロフ家に嫁いだが、意地悪な舅ボリスと、夫ジノーヴィとの愛のない生活に傷心の日々を送っている。製粉所の堤防が壊れたので夫は外出、「亭主が出て行くのに涙一つ流しよらん。イコンに貞操を誓わんか。」とねちねちと小言をいい、(製粉所の小麦粉を守るため)「殺鼠剤を用意しろ。」と命じる舅にカテリーナは「お前こそ鼠。」と殺意を抱く。そこへ、新しい下男セルゲイが女中を手ごめにしようとして大騒ぎになる。カテリーナはセルゲイを叱責するが、セルゲイは下心を抱きカテリーナを押し倒す。それを見たボリスは「不倫じゃ。息子に言いつけてやる。」と怒る。その夜遅く、カテリーナのもとにセルゲイが忍び込み強姦する。カテリーナはセルゲイの虜になり、2人は固く抱き合う。

第3場幕開けの孤独を嘆くカテリーナの悲痛なアリアは極めて美しい。後半のレイプ・シーンは、性行為を音楽で描写した有名な場面で、作曲者の非凡な才能がうかがわれる。スターリンが激怒したのもまさにこの点にあった。『カテリーナ・イズマイロヴァ』では、この部分の音楽は短かくシンプルなものに差し替えられている。

 

第2幕

第1場:イズマイロフ家庭先、第2場:カテリーナの寝室

ボリスが夜回りをしながらカテリーナに対する抑えきれない欲望を歌う。そこへ情事を終えたセルゲイが窓から逃げ出す。ボリスはセルゲイを捕まえ、鞭で打ちすえる。驚くカテリーナや下男たちに、ボリスは怒りに打ち震え、息子をすぐ呼びにやらせ、彼の好物であったキノコスープを作れと命じる。切羽詰ったカテリーナはスープに殺鼠剤を入れる。ボリスは苦しみだし、臨終に立ち会った牧師に懺悔するが、カテリーナを恨めしげに指さして死ぬ。カテリーナは嘘泣きをしてキノコによる食中毒とごまかす。再びカテリーナは寝室でセルゲイとの逢瀬を楽しむが、ボリスの亡霊に悩まされる。そこへジノーヴィが帰ってくる。ジノーヴィは不義の現場を押さえ、カテリーナを革のベルトで打ちすえるが、セルゲイにより殺される。

第1場のボリスのグロテスクなアリアと、正教の司祭のシニカルなアリアが面白い。第1場から第2場の間奏曲はパッサカリア形式の壮大なもので、舞台外のバンダも加わり、悲劇的要素を強調する。ショスタコーヴィッチのすぐれた管弦楽法が聴きものである。

 

第3幕

第1場:イズマイロフ家納屋の前、第2場:村の警察署、第3場:イズマイロフ家納屋の前(宴会場)

カテリーナとセルゲイの結婚式が自宅で行われる。納屋にジノーヴィの死体を隠し、何食わぬ顔をする2人。だが、酔いどれの農夫が死体を発見し、警察に通報する。2人は結婚式の宴席で逮捕される。

この幕は全体的に短めで、農夫のコミカルな歌やバンダが大活躍する軽快な「怒りの日」のパロディの間奏曲、警官のユーモラスでグロテスクな合唱と行進曲など、重苦しい劇の中で息抜きの役割を持つ。なお、この幕を交響曲のスケルツォに相当するとする意見もある。

 

第4幕

第1場:シベリア街道 湖のほとり

カテリーナとセルゲイは刑に服し、シベリアに流される。2人と流刑者たちはとある村の湖のほとりで休憩する。すべてを失ったカテリーナにとって、ただ一つの頼みは愛するセルゲイの存在であった。セルゲイに会うことができて、彼を慕うアリアを歌う。(この旋律が後の弦楽四重奏曲第8番に引用されている。)だがセルゲイは心変わりし、別の女囚ソネートカと関係を持ってしまう。囚人たちに囃され、カテリーナは絶望のあまり、ソネートカを道連れに湖に身を投げる。役人は出発を告げ、囚人たちは物悲しい歌を歌いながら船に乗り舞台を去る。

ここは、ムソルグスキーの影響を受けたロシア色豊かな場面。特に幕切れ近く、絶望したカテリーナが歌うアリアは悲痛そのもので、劇的なクライマックスを作り上げている。

プログラムとキャスト

指揮者: リッカルド・シャイー
演出: ヴァシリー・バルハトフ
舞台装置: ジノヴィー・マルゴリン
衣装: オルガ・シャイシュメラシュヴィリ
照明: アレクサンドル・シヴァエフ

 

配役
ボリス・ティモフェエヴィチ・イズマイロフ:アレクサンドル・ロスラヴェツ
カテリーナ・リヴォヴナ・イズマイロヴァ:サラ・ヤクビアク
セルゲイ:ナジッディン・マヴリャノフ
ザドリパニー・ムジチョンカ(みすぼらしい農民):アレクサンドル・クラヴェツ
司祭:ヴァレリー・ギルマノフ
ジノヴィ・ボリソヴィチ・イズマイロフ:エフゲニー・アキモフ
番人:イジー・ライニシュ
警察署長:オレグ・ブダラツキー
アクシーニャ:エカテリーナ・サンニコワ
老囚人:ゴデレッジ・ジャネリゼ
ソネトカ:エレーナ・マクシモワ
女囚人:ナタリヤ・ロマニウ
警官:ファンホン・リー
教師:ヴァシル・ソロドキー

ニコライ・レスコフの同名小説に基づく
スカラ座管弦楽団および合唱団
スカラ座新制作

スカラ座

ラ·スカラはイタリア、ミラノにある歌劇場でイタリアオペラ界の最高峰とされています。スカラ座合唱団、スカラ座バレエとスカラ座管弦楽団の本拠地 です。初代の歴史的建築物のテアトロ・ドゥカレが焼失し、新劇場として完成されたのが現在の建物です。

 

劇場は1778年8月3日に落成し、アントニオ·サリエリの「見出されたエウロパ」でこけら落としを行いました。

これまでの200年間でイタリアの偉大な芸術家や世界中の人気オペラ歌手の数多くがこのスカラ座の舞台に登場しています。今日では世界屈指のオペラ·バレエ劇場の一つとして認識されています。また、スカラ座アカデミーはこの劇場の直属の学校で、音楽やバレエ、舞台マネージメントなどのプロを養成しています。

スカラ座のシーズンは伝統的に12月7日の聖アンブロジウスの日から始まります。この日の上演はすぐ近くのカレリア内に設置された巨大モニターを通じて生中継されます。

また建物内部にあるスカラ座博物館では昔の楽器屋衣装、ポスター、肖像などスカラ座のコレクションが展示されています。

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